投稿日 2022年9月25日 | 最終更新 2023年4月11日
たまちゃん @銀行@0oiWoLdhYZk6Hvr吾輩は目標未達銀行員である。人権はまだ無い。どこで生まれたかとんと見当がつかぬ。何でも薄暗いじめじめした所でフィーフィー泣いていた事だけは記憶している。吾輩はここで初めて支店長というものを見た。しかもあとで聞くとそれは役員候補という支店長中で一番獰悪な種族であったそうだ。
2022/09/22 19:33:55
この支店長というのは時々我々を詰めて責任を負わせるという話である。しかしその当時は何という考えもなかったから別段恐しいとも思わなかった。ただ彼の掌に掴まれてスーと持ち上げられた時何だかフワフワした感じがあったばかりである。
— たまちゃん @銀行 (@0oiWoLdhYZk6Hvr) September 22, 2022
この時少し落ちついて支店長の顔を見たのがいわゆる支店長というものの見始めであろう。この時妙なものだと思った感じが今でも残っている。第一毛をもって装飾されべきはずの顔がつるつるしてまるでヤカンだ。その後人間にもだいぶ逢あったがこんな若いヤカンには一度も出会ったことがない。
— たまちゃん @銀行 (@0oiWoLdhYZk6Hvr) September 22, 2022
のみならず顔の真中があまりに突起している。そうしてその穴の中から時々ぷうぷうと煙を吹く。どうも咽せぽくて実に弱った。これがオヂサンの吸う煙草というものである事はようやくこの頃知った。
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この支店長の下でしばらくはよい心持に働いておったが、
しばらくすると非常な速力で営業の旗振りを始めた。支店長が動くのか自分だけが動くのか分らないが無暗に眼が廻る。胸が悪くなる。到底助からないと思っていると、どさりと音がして眼から火が出た。それまでは記憶しているがあとは何の事やらいくら考え出そうとしても分らない。
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ふと気が付いて見ると支店長はいない。沢山おった同期が一人も見えぬ。肝心の上司さえ姿を隠してしまった。その上今までの所とは違って無暗に明るい。眼を開けていられぬくらいだ。はてな何でも様子がおかしいと、のそのそ這い出して見ると非常に広い。吾輩は支店から本部の閑職へ棄てられたのである。
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ようやくの思いで閑職を抜け出すと向こうに大きな支店がある。吾輩は支店の前に坐ってどうしたらよかろうと考えて見た。別にこれという分別も出ない。しばらくして泣いたら支店長がまた迎えに来てくれるかと考え付いた。フィー、フィーと試みにやって見たが誰も来ない。
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そのうち支店の上をさらさらと風が渡って日が暮れかかる。腹が非常に減って来た。泣きたくても声が出ない。仕方がない、何でもよいから仕事のある所まであるこうと決心をしてそろりそろりと池を左に廻り始めた。どうも非常に苦しい。
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そこを我慢して無理やりに這って行くとようやくの事で何となく支店長臭い所へ出た。ここへ入ったら、どうにかなると思って退職者が出た穴からもぐり込んだ。縁は不思議なもので、もしこの退職者がなかったなら、吾輩はついに職を失い路傍に餓死したかも知れんのである。
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さて支店へは忍び込んだもののこれから先どうして善いか分らない。仕方がないからとにかく明るくて暖かそうな方へ方へとあるいて行く。今から考えるとその時はすでに修羅の内に入っておったのだ。ここで吾輩は彼の役員候補以外の支店長を再び見るべき機会に遭遇したのである。
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第一に逢ったのが営業課長である。これは前の役員候補より一層乱暴な方で吾輩を見るや否やいきなり頸筋をつかんで表へ放り出した。いやこれは駄目だと思ったから眼をねぶって運を天に任せていた。しかし減給と暇なのにはどうしても我慢が出来ん。吾輩は再び営業課長の隙を見て材料会議へ出た。
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すると間もなくまた投げ出された。吾輩は投げ出されては這い上り、這い上っては投げ出され、何でも同じ事を四五遍繰り返したのを記憶している。その時に営業課長と云う者はつくづくいやになった。この間営業課長のお得意先
— たまちゃん @銀行 (@0oiWoLdhYZk6Hvr) September 22, 2022
を盗んでこの返報をしてやってから、やっと胸のツカエが下りた。
吾輩が最後につまみ出されようとしたときに、支店長が騒々しい何だといいながら出て来た。副支店長は吾輩をぶら下げて支店長の方へ向けてこの手に職なしの行員がいくら出しても出しても材料会議へ来て困りますという。主人は鼻の下の黒い毛を撚りながら吾輩の顔をしばらく眺めておったが、やがて
— たまちゃん @銀行 (@0oiWoLdhYZk6Hvr) September 22, 2022
そんなら内へ置いてやれといったまま奥へ這入ってしまった。支店長はあまり口を聞かぬ人と見えた。副支店長は口惜しそうに吾輩を材料会議へ放り出した。かくして吾輩はついにこの支店を自分の職場と決める事にしたのである。
— たまちゃん @銀行 (@0oiWoLdhYZk6Hvr) September 22, 2022
吾輩の支店長は滅多に吾輩と顔を合せる事がない。得意は相続案件だそうだ。得意先廻りから帰ると終日支店長室に這入ったぎりほとんど出て来る事がない。支店のものは大変な勉強家だと思っている。当人も勉強家であるかのごとく見せている。しかし実際はうちのものがいうような勤勉家ではない。
— たまちゃん @銀行 (@0oiWoLdhYZk6Hvr) September 22, 2022
吾輩は時々忍び足に彼の支店長室を覗いて見るが、彼はよく昼寝をしている事がある。時々読みかけてある本の上に涎をたらしている。彼は胃弱で皮膚の色が淡黄色
— たまちゃん @銀行 (@0oiWoLdhYZk6Hvr) September 22, 2022
を帯びて弾力のない不活溌な徴候をあらわしている。その癖に早飯を食う。早飯を食った後で太田胃酸を飲む。飲んだ後で書物をひろげる。
二三ページ読むと眠くなる。涎を本の上へ垂らす。これが彼の毎夜繰り返す日課である。吾輩は平行員ながら時々考える事がある。支店長というものは実に楽なものだ。行員と生れたら支店長となるに限る。こんなに寝ていて勤まるものなら平行員にでも出来ぬ事はないと。
— たまちゃん @銀行 (@0oiWoLdhYZk6Hvr) September 22, 2022
泣き声、「えんえん」だと?
— rugeshita (@rugeshita) September 23, 2022
見事な文学w
— tumodora3 (@narita9876) September 22, 2022
ペンネームは枕流とかでしょうか。
上手すぎる、なんらかのテーマで世に残したいパロ、、作品だと思う。 https://t.co/Ub9LQxPVQF
— そんそんうどん (@ossan197108) September 23, 2022
フィーフィーで吹いた https://t.co/jUxIlTkipt
— Jargon(5G接続済み) (@Freetalkaccount) September 23, 2022
フィーフィーと泣き https://t.co/3sC20Cucw6
— ガチョウ課長 (@gatyoukatyou) September 23, 2022
役員候補とか出世したいやつなんてコントロールするの簡単よ
— 眠男(ねむを)@どうせ全ては粒か紐で同じ (@a99_sony) September 23, 2022
こいつ虐めると出世の邪魔になると思わせれば勝ち
それは凄く簡単よ https://t.co/BAcVBe8HdX