投稿日 2022年11月16日 | 最終更新 2023年4月11日
窓際三等兵@息が詰まるようなこの場所で@nekogal21「里奈ちゃんは来年から保育園なんだ、じゃあお受験大変だね」
2022/11/16 12:14:14
水道橋のラクーアに併設されたプールで、微笑みながら話す千尋さん。ベビースイミング教室で揺さぶられた私の価値観。あんな世界、知らなかった方が幸せだったのかもしれない。でも、知る前には戻れない。文京区に、住んでいます。
東京という大都市の中心部でありながら、その名が示す通り学園都市としての顔も持つ文京区。東京大学を頂点に錚々たる国立大学や附属校が校舎を構え、学び舎がもたらす豊かな自然を取り囲むように閑静な住宅街が並ぶ。茗荷谷駅から徒歩7分、春日通りから奥まった所の一軒家に暮らしてもう8年になる。
— 窓際三等兵@息が詰まるようなこの場所で (@nekogal21) November 16, 2022
大学時代の同級生の美咲が東池袋のタワマンに引っ越したと聞いたとき、埼玉県民の美咲らしい選択だな、と思った。池袋とか、タワマンとか、そういう下品な世界。私は地に足のついた生活をしたかったし、資産価値を気にしてせせこましく35年も過ごすのなんてまっぴらごめんだったから、戸建てを選んだ。
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20坪の狭小邸宅は成城の実家よりずっと狭かったけど、まあ職場にも近いし、と自分に言い聞かせた。「奥さん、掘り出し物ですよ」という不動産屋さんの言葉の裏に「(嘘なわけねぇだろ、カス。文京区で庭付きの家なんててめえなんかが買えるわけねぇだろ)」という心の声が聞こえたのはきっと気のせい。
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私は知らなかった。百姓の子孫だらけの世田谷と違い、文京区には「本物」がいるということを。育休中に通い始めたベビースイミングで仲良くなった千尋さん。お呼ばれした家の見事な日本庭園には、松の樹が植わっていた。「元はお祖父ちゃん家だから古くて」と笑っていたが、葵の家紋で全てを察した。
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千尋さんは私に色々なことを教えてくれた。「本物」の文京区民は保育園ではなく、国立大附属の幼稚園に通うということ。最近はマンションが増えているということ。「相続できなくなった家を分筆して建つ狭い家も増えて、嫌よね」という千尋さんの言葉を、私は半笑いでやり過ごすしかできなかった。
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江戸時代から続く身分格差を今も残す文京区。大手町からの距離に、閑静な住環境に、恵まれた教育環境に、それぞれの理想を抱いて越してきた持たざる庶民はやがて気づく。ここはゴールではなく、東京砂漠2400メートルコースのスタート地点なんだと。重馬場のダートを走るのは自分達ではなく、我が子だ。
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SAPIX、英会話、早稲アカ、幼児教室、そろばん…春日通り沿いの光景がすべてを物語る。教育都市、茗荷谷。その美しいヴェールを一度剥けば、そこにいるのは幼少期から親の期待と重課金を背負って走らされる子どもたちの姿だ。ニンジンを与えられ、そして鞭を打たれ、歩みを止めることを許されない。
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この街では、教育という呪縛から逃れることはできない。死滅回遊の結界(コロニー)と化した教育の森公園では、今日も幼子を連れた母親が「ママが持ってるどんぐりとたかし君が持ってるどんぐりを足したら何個になるかな?」と「教育」を施していた。公園で憩うことすら許されない、修羅の国の日常。
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修羅の国では、休息も必要ない。茗荷谷駅前のサンマルクカフェは潰れ、コンビニになった。ママ同士でつるんでお茶している暇があれば理英会のドリルを解かせ、熊歩きの練習でもしてろという街からのメッセージ。マクドナルドでは、半泣きの娘を叱りつける母親の姿。子を想うが故に、人の心を失う私達。
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どんなに頑張っても、国立小の倍率は30-40倍。「記念受験だよ」と口では言いながら、ほのかな期待で傷つく哀れな私達。里奈、皇室の娘に産んであげられなくてごめんね。屍の上を優雅に歩く、全身をネイビーで包んだ国立小のママ達。先日、スーツ姿の千尋さんを見かけたが、声をかけられなかった。
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幼稚園の時点でお茶の水と学大附属竹早に落ち、リベンジを期した小学校受験でも筑波小、お茶小、竹早小からご縁を貰えなかった可哀想な里奈。6歳の時点で、何度も不合格を言い渡され、ストレスで両手の爪は歯でボロボロだ。頭で分かっていても、それでも私は抗うことができなかった。文京区の魔力に。
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お受験に落ちた子どもたちを待つのは「3S1K」。受験界隈では名高い、文京区が誇る名門公立小だ。この学区を目掛け、医者やエリサーの親の期待をランドセルにぎっしり詰め込んだ重課金戦士達が次々と集まってくる。娘の通う窪町小では、かつて1学年あたり3クラスだった学級数は5クラスまで膨張した。
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東工大卒でシステムエンジニアをやっている旦那は…(続きは高級メディアのみんかぶ @minnanokabusiki で!本当はSUUMOタウンみたいなエモい地域エッセイを書きたかったはずなのに、何故…私は…https://t.co/AfLepJZtAz
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