投稿日 2022年4月30日 | 最終更新 2023年4月11日
窓際三等兵@nekogal21「アメリカのディープステートがウクライナで生物兵器を作ってたんだぞ」70歳とは思えぬハキハキした口調で、父がまくし立てる。白髪が増えた母は何も言わずに俯いている。かつて背比べをした柱の傷、煤けた壁紙、気の抜けた音を鳴らす柱時計。25年前と変わらぬ実家には、澱んだ空気が漂っていた。
2022/04/29 23:23:43
新型コロナが落ち着いたらーー。そんな口約束を2年間繰り返しているうち、父はすっかり陰謀論にハマっていた。「ワクチンなんて生物兵器、俺は絶対体内に入れないからな」そう豪語する父の手にはイベルメクチンの箱があった。SAPIXのGS特訓のため、妻と息子を東京に置いてきたのがせめてもの救いだ。
— 窓際三等兵 (@nekogal21) April 29, 2022
勤勉であれという家訓を胸に、早稲田の政経を卒業しメガバンクに就職してからも勉強を続けた。市場価値を高めようとUSCPAも取り、今月の給料は総支給90万弱で手取りは65万程度。港南のタワマン高層階で固いコメを食べて育った息子のさとしはスケボーなぞ目もくれず、前回のマンスリーの偏差値は65だ。
— 窓際三等兵 (@nekogal21) April 29, 2022
東京砂漠でのささやかな成功を手土産に凱旋帰郷したつもりだったが、不正選挙によって敗れたトランプが闇の勢力と戦っているというストーリーを熱弁する父にとり、東京に行った息子や孫の現在地はどうでも良いようだった。トイレに行った隙に「お父さんね、定年退職して寂しかったのよ」と母が漏らす。
— 窓際三等兵 (@nekogal21) April 29, 2022
かつて栄華を誇った今治の造船業だが、中韓勢の価格攻勢でかつての勢いは見る影もない。造船の衰退と歩みを揃えるように今治の街自体も賑わいを失った。定年後の仕事も趣味もなく、社会から隔絶された父に残されたのは人類の叡智が作り上げたスマホであり、人類の愚かさが詰め込まれたYouTubeだった。
— 窓際三等兵 (@nekogal21) April 29, 2022
「今回の円安もロスチャイルドが日銀と組んで仕掛けてきた経済戦争だからな、お前ら銀行員も負けるなよ」興奮気味に語る父にどう返したら良いのか逡巡しながら飲むプレミアムモルツは苦い味がした。考えることをやめた高齢者向けに作られたワイドショーをボヤッと眺めてくれた方が余程良かった。
— 窓際三等兵 (@nekogal21) April 29, 2022
久々に息子に熱弁を奮って疲れたのか、父はうたた寝を始めた。「気を悪くしないでね、久々にあなたと話せて嬉しかったのよ」と母。静かに衰退する街の、時間が止まった家で人知れず老いていく両親達。あの時、伊予銀行に就職していれば違った未来があったのかもしれないと思うと、罪悪感で胸が痛い。
— 窓際三等兵 (@nekogal21) April 29, 2022
モヤモヤした想いを抱え、18歳で家を出た時から変わらない自分の部屋のベッドに横たわる。本棚には早稲田や慶応の赤本と並んでゴーマニズム宣言の背表紙が見える。学校にこれを持って行き友人に一生懸命宣伝した黒歴史を思い出し、枕に顔をうずめて足をバタバタする。血は争えないのかもしれない(完
— 窓際三等兵 (@nekogal21) April 29, 2022
諸般の事情があり、GW初日はずっとパソコンに向かってキーボード打ちながら息抜きにスマホでTwitterしてました。あの頃の僕は知らなかったんだ、文章を書くことで溜まるストレスを文章を書くことで解消する異常中年になるなんて…。noteもやってます、よろしく。https://t.co/RZ0Hg9miY9
— 窓際三等兵 (@nekogal21) April 29, 2022
ついでにひとり親家庭向けに食料支援しているNPO法人への寄付を呼びかけておきます。インフレで経済的に苦しい家庭に皺寄せが行ってる状況なので、各人できることを粛々とやっていきましょう。かはするとメールで動画とか送ってくれるけど、なかなかグッと来ます。https://t.co/LBI9tX78RT
— 窓際三等兵 (@nekogal21) April 29, 2022
あれれ?
— ペパット@完全復活 (@pepat109) April 30, 2022
まるでうちの実家と同じ状況で
びっくりしました
どこでも起こっていることなんですね
朝日新聞の投書欄
— 諸隈元シュタイン (@moroQma) October 20, 2020
コロナ禍のストレスを親にぶつけ、ネット情報をうのみにする息子はアホだけど、「新聞はでたらめを載せない」と妄信してる母親も母親で、そんな視野の狭い人が感情的になれば紋切り型の文句しか言えないのは必定だから、耳タコの息子が苛立つ気持ちも解らなくはない
けど、平和だな pic.twitter.com/AKTFTQ8m7q
この母子に必要なのは、帚木先生が提唱する「ネガティブ・ケイパビリティ」
— 諸隈元シュタイン (@moroQma) October 20, 2020
即ち「正解のない宙ぶらりんの状態に耐える力」だろう
ネット情報も新聞も世界の断片に過ぎない
「でたらめか真実か」という両極端な二元論で視野を区切るから不毛な対立も生じる
けど、平和だよなhttps://t.co/efKHZAVVId
これを思い出す
— 諸隈元シュタイン (@moroQma) October 21, 2020
・専門学校生の息子
・勉強は充実しているが成果を発表する機会がなく先も見えない
・「コロナはただの風邪」「マスクなんて意味ない」などと発言しつつ外出時はマスク着用
どうしたらいいでしょうか?
と訊かれてもこう答えるしかない
「息子さんは普通」https://t.co/NeVZB1cJbD
コロナ禍における平和な家庭の一幕を披露した投書「コロナストレス ぶつける息子」
— 諸隈元シュタイン (@moroQma) December 3, 2020
反響が大きかったのか、再掲載の上、寄せられた意見も紹介
話題が話題で、媒体が新聞なので選考の偏りも無理ないとはいえ、見事に全員が「情報」しか眼中にない
文学なども読んで状況を受け止める視野自体を広げないと pic.twitter.com/7BelhSbhtB
それくらいのリテラシーのある御父上なら
— 🦉ろるば🌿 (@raoluba) April 30, 2022
①「紛争でしたら八田まで」をプレゼント
②なんとなく地政学に興味を持ってもらう
③(熟成期間)
④雑談でハンロンの剃刀
⑤「人の悪意を前提としない物語の創造」をパズルを解くような気持ちで挑戦させる
⑥帰省毎に答え合わせ
でイケそうな気がします
一連のツイ読み進めていて、じんわり悲しみがこみあげてきました。
— 寶麗亭春鰹 🌸春負け中 (@houleitei_kula) April 30, 2022
生真面目で勤勉なシニア層ほど、所謂DS陰謀論に取り込まれてしまう。
ご子息の心中を思うと、切なくなる。
私は陰謀論にはノーを突きつけ続けるよ。
真面目で純粋な人を馬鹿にする陰謀言論人、許すまじ💢 https://t.co/Z05D59N9AA
方向性は違うけどウチも全く同じで泣けます。
— 新しいほうき (@10shihei) April 30, 2022
You Tubeの字幕解説動画の訴求力は男性高齢者に対してえげつない。
あとNetflixとかサブスクも覚えたら中毒になりますよ。
似たような話をオーストラリアの友人から聞きました。
— フィリップ ギレスピー (@GillespieJapan) April 30, 2022
コロナ中、YouTubeに洗脳され、陰謀説だけを唱える高齢者達。
世界中で起こっている現象だと思います。
ゴーマニズム宣言は戦争論「まで」ならあまり悪くないと思いますよ。
— ベリー 🌟٩(๑❛ᴗ❛๑)۶🌟 (@Berry_much_) April 30, 2022
今の作者の惨状はさておき(^◇^;)
設定が甘くて気になるのだ
— 工業高校生のアライさん(2B,or not 2B) (@Tofojisan) April 30, 2022